忘れかけていた、プロジェクトに向き合うときに大切なこと

「もうすっかりベンチャーキャピタリストだねぇ。こうしてSlush Asiaで頑張っていた皆が、いろんなところで活躍しているのは嬉しいなぁ。マミちゃん、次の世代のロールモデルになってね」

 

尊敬しているTさんに、こんな言葉をいただいた。初めてお会いした1年半前から数回に渡りお会いしてきたものの、直接面と向かってこう言っていただけたのは初めてで、(どういった意図であったかは分からないものの)とても嬉しかった。と同時に、私が今抱いている葛藤やモヤモヤした小さな悩みなどは全て見透かされているような気がして、なんとも言えない気持ちになった。

 

親友に「マミは人の影響を受けやすいからなぁ」とよく言われるくらい、私自身も自覚してはいるが、この2日間、冒頭の言葉がずっと頭から離れなかった。それ以前からも何かが心につっかえている心地がしていたのだが、とある先輩に指摘していただいたことがこのモヤモヤに関連するような気がして、このモヤモヤの正体と向き合ってみようと思う。

 

 

そもそも、私がベンチャーキャピトリストであるか、それに向いているのか否かという問いは置いておいて、ベンチャーキャピタルに身を置いていると、「この事業は上手くいきそうか」や「プロダクトマーケットフィットがしっかりできていて、トラクションが揃っているか」、「この人に投資したいか」という判断軸が自然と備わっていく。私は投資案件に関わっているわけではないので、その軸が研ぎ澄まされるか否かはまた別として、自然とこういった考え方をし始めていることに気付く。

もちろん、「儲かるの?」よりも「こんなことできるの?できたらスゴイ!」というアイディアを支援することも多々あるだろうが、人様のお金を預かり巨額の資金を運用しているので、利益を生み出すことを第一に考えることは当然である。

 

誰しも未来を完全に予測することができない中、こういった判断軸や多量のリサーチ、ネットワークにより、成功する人や企業を発掘し、支援し、成功の一助となるのだから、投資家やベンチャーキャピタリストの凄さ・偉大さは語彙力のない私には言語化できないほど凄いし、彼らをとても尊敬している。

 

 

一方で、全く別の組織でイベント企画・コミュニティ形成に打ち込んでいた数ヶ月前の自分を振り返ってみる。

 

投資家やベンチャーキャピタルから資金調達こそ行っていなかったものの、各パートナー企業から協賛金をいただいたり、さらにいうと金銭だけでなく、人や知識、ネットワーク、スペース、メンタル的なサポートをたくさんいただいていた。

 

そんな有難い環境の中にいても、未熟な点やミスコミュニケーションが多すぎて、多方面から「無理だ、こんな組織じゃ上手くいかない」、「今年は失敗する」、「もう応援できない」と何度も言われた。だが、いくら周りにそう言われたとしても、自分たちだけは”できる”と信じていたし、「絶対にやりきってみせる、成功させてやる」という強い信念とパッションだけは持ち合わせていた。

私は特に気持ちと感情の起伏が激しいので、調子が悪い時はこの情熱が途絶えてしまいそうになることもしばしばあったが、その度に、仲間が励ましてくれて私の自信を取り戻してくれた(し、イベントは特に、何を以って”成功”と定義するか判断が難しいが、小さな失敗はもちろんたくさんあったものの、それでもイベント自体は失敗ではなかったと思う)。

 

 

こんなことを、尊敬している方や先輩の言葉を受け考えさせられ、最近動き始めたSlush Asiaの新しいチームを見ていて(感覚でいうと、立場が”プレイヤー”から”サポーター”になった感じ)、ふと思い出した。

もちろん、立場によって感じることや考えること、得られる価値観は全く違うと思うが、

・信念を持ち、情熱・パッションを抱き続けること

・潰れてしまいそうな時に、支え合い励まし合える仲間がいること

がいかに大事であるかを、忘れかけてしまっていたことにこの2、3日で気付かされた気がして、正直とても驚いたしショックだった。

 

いつか、何か自分のプロジェクトを始める時、プレイヤーになる時に、収益性やマーケットの大きさを考えることはもちろん大事であるが、それ以前に、自分が何に意欲を掻き立てられているのか、何故それを実現したいのか、という理由付けや、たとえ周囲に批判されたとしても「本当に実現したい!」という熱い想いを絶対に忘れないようにしよう、と思ったのでメモ。

 

 

 

 

 

余談だが、今でも「Slush Asiaで辛かったことは?」と聞かれる度に、昨年の暮れ、オフィスで泣きじゃくる私を、田口とマリが懸命に励まして自信を持たせようとしてくれたシーンが目に浮かぶ(あの頃は落ち込み?落ちぶれ?すぎて、心に届かなかったが、そのくらい仲間想いな人たちに出会えたことが、潰れそうな私を支え・励ましてくれたと思っている)。

今回、いくつかのタイミングが重なって、歳をとるごと・社会の色々なことを学ぶごとに、パッションと情熱を持ち続けることは意外と難しいんじゃないかと思ったことと、当たり前だけど「何をするか」よりも、「誰とするか」は大事で、こういうプロジェクトで出会った仲間や先輩たちに、私は育ててもらったなぁと思ったので(いつかどこかで見た、The people who you meet shapes your life. という言葉が好き)、このブログを書いてみた。

 

 終わり

500 Startups と Fortune 500に選ばれた会社の比較から、企業カルチャーについて考えてみた

 「Hahaha it actually shows that. Good catch, Mami!」


(もう先月になってしまったが)2日間スタッフ参加したTech in Asia Tokyoで、ものすごく嬉しい出来事があった。
私の担当は、メインステージ登壇者の登壇後のメディアインタビューをコーディネートすることだったのだが、連絡が行き届いてないのかメディアがスピーカーに興味が無いのか、肝心のメディアが現れないことが数回あった。500 IndiaのPankajiを対応した時も同様で、メディアが1社も来なかった。

それまでと同様、登壇した直後のPankajiともう1人(インド人の投資家)をメディアルームに迎え、場所の説明・何故メディアがいないかの説明(要は謝罪)をする。この時、私はどちらが500 Indiaの人か認識しておらず、ただひたすら失礼のないように謝っていたのだが、その2人はこんな特徴を持っていた。
・1人はiPhoneをスクロールしながら私の話を黙って聞き、
・もう1人はじっと私の目を見つめながら話を聞き、その後で「大丈夫だよ。君のせいじゃないのはわかってるし、ステージでの対談楽しかったから」と笑顔で返してくれた。

このとき、直感で「この人が500の人に違いない!」と思い(私の直感はよく当たる)、後々きちんと自己紹介をしながら話したら(すごく人柄が良い人だったので生い立ちやキャリアが気になって、翌日イベントが終わった後に小一時間話し込んだ)、「確かにそうだったね、よく観察してるじゃん」的な意味を含めて「Good catch!」と言ってくれた。

イベント運営に携わっていた経験から、良くも悪くも、組織もイベントも結局は人がつくっているもので、最終的には「人柄」や「丁寧さ」が最も重要であると感じていた私は、一言で言うとこのとき感動した。

組織を存続させるために、「何を達成するか」のミッションや存在の意義を掲げることはもちろん大事だが、この出来事から、何故ここで働きたいと思ったか、いかに企業文化やフィロソフィーが重要かに一度フォーカスしたいと思った。

せっかくなので、アメリカ留学時代に3ヶ月弱インターンをしていたFortune 500に選ばれている企業:Expeditors International Wasington, Inc.(アメリカはワシントン州シアトルにヘッドクォーターを置く、世界100カ国強にオフィスがあり従業員は15,000人強、日本にも展開している空海運の物流企業)と比較してみた。
※リンクにもあるが、Fortune 500とはアメリカ合衆国フォーチュン誌が年1回編集・発行するリストの1つで、要はこれにランクインされる=めちゃ働きやすい会社の象徴ということだ。

 

Expeditors International Washington, Inc.

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文化についてのwebsite引用

At Expeditors, our culture is about exceeding our customers' expectations and providing a place for our employees to make a career. It is noticeable that our people just care more. They move faster, work harder and are better rewarded than our competition. Our offices are neat, organized and set up in accordance with our quality standards. It's a simple philosophy that works - we will do all we can to protect our culture.

 

このもとに、10のフィロソフィーがある。


Appearance (見た目、容姿、態)

Attitude (態度、物事に向かう姿勢)

Excellence (優秀、卓越)

Confidence (自信、信頼)

Curiosity (好奇心、興味)

Integrity (正直、誠意、誠実さ)

Pride (誇り)

Resolute (断固、果敢)

Sense of humor (ユーモアのセンス・感覚)

Visionary (明確なビジョンを持つ人、夢想家)

 

インターン中、コラージュをつくってホーム画面に設定していたほど、このカルチャーが大好きだった(CuriosityとAtitudeがお気に入りだったのは明白(笑)今はどちらかと言うと、IntegrityとConfidenceが好き)。Fortune 500に選ばれている程度なので、発言を受け入れる、他者をほど良く気遣う・互いを尊重し合う、社員教育がしっかりしている(物流からビジネス、会計、システム、国・企業文化、パブリックスピーキング等々、必修・選択含む役員・取締役含む全社員対象のクラスがたくさんある、私の仕事はこのトレーニング部署のお手伝いだった)という点で、とても働きやすい会社だと感じた。

 

500 Startups

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※日本語訳は、THE BRIDGEさんの記事から拝借。

thebridge.jp


1. Be bold, be humble. Forgive mistakes, but not timidity.

1). 大胆であれ、謙虚であれ。ミスは許しても、小心は許容すべからず

2. Move fast, break things. Iterate to success. Fast.

2). 迅速に動き、物事を破壊せよ。成功するまでそれをスピードを持って繰り返せ

3. Challenge yourself, and others. Hold each other accountable 100% of the time.

3). 自分、そして他者に挑戦せよ。常にお互いに責任を課せ

4. Be diverse and inclusive. Diversity and inclusion is our strategy and moral imperative. Embrace it.

4). 変化し、多様であれ。多様性と包含性は、私たちの利益戦略で道徳的必須要項だ。それを謳歌せよ

5. Have fun. It's our job to make money and GSD, but it's also our job to have fun.

5). 思いっきり楽しみ、稼げ。稼ぐことは私たちの使命でGSD(Get Stuff Done)であると同時に、それを楽しむこともまた私たちの使命である

 

※GSD=公の場では"Get Stuff Done"と言っているが、実際(インターナルで)は"Get Shit Done"。

 

(何故か日本語に訳すと表現が硬くなるような・・)Forgive mistakes, Challenge yourself, Be diverse and inclusiveはSlush Asiaの頃から大事にしていたことだし全部好きだが、特に5番目の #HFGSD (=Have Fun Get Shit Done) が大のお気に入り。VC・500・James/陽平さんのことを正直あまり知らなかったが、最後の一文を読んでインターンの応募を決意したと言っても過言ではない。

 

 

と、いうことで、比較も何もなくただ羅列しただけだけどw、9月は500のUSや東南アジア、インド(Pankaji)チームの人に会うことが多く、インターン2ヶ月目にしてより"500 Startups カルチャー"を感じることが多かったので改めて振り返ってみた。もちろん日本オフィスでもこんな感じで、いつもジョークを飛ばしながらも #HFGSD をちゃんと遂行している(私は効率悪いながらもこれを目指している)。

 

最後に、私は物事よりも直感やカルチャーフィットを大事にしているので、組織に属す・企業を選ぶ時だけでなく、組織をつくる時においても、ビジョンだけでなく文化をつくることは大事だ、と強く感じている。SlushでもAsia(Tokyo)なりにカルチャーを明確にできたのかな、と時々思うし、次に自分が組織をつくる時には、どこかのタイミングでこういうのつくりたいなぁ、というぼやきで終わり。

 

 

500とSlush、VCと利益追求を目的としない団体の相違点(私見)を挙げてみた

※VCと利益追求を目的としていない団体といっても、単に500とSlushを比較した私見を述べただけの自己満ブログです。

 

「"Global from Day one" is the key for us.」

 

8月2日、インターン初日、 朝9時から続く怒涛のミーティング嵐の前に、Jamesが500についてのレクチャーをしてくれた時、彼がこんなことを言った(一字一句を覚えているわけではないが、要するにこんな意味合いだった気がする。彼は、経済用語だけでなく”VC”や”ファンド”の言葉の意味さえ知らない無知な私に、”VC101”なるレクチャーを開いてくれたり、私のわがままである週一フィードバックの時間を設けてくれるくらい、見た目やイメージに反して面倒見がいい)。

 

前日から続いていた極度の緊張のため(前日は500の有名な投資先を調べたり500 Japanにまつわる記事を読み漁ることで気を紛らすという、テスト前にいつも一夜漬けをする私の性格がよく表れた)、記憶が鮮明に残っているわけではないが、この時、無性に嬉しかったことだけはよく覚えている。

 

何故ならば、”Global from Day one”は、前職(?)のSlush Asiaでコンセプトミーティングやイベントの意義・ゴールを話し合う際、いつも大切にしていたことだからだ(スタートアップや起業家を支援するという大前提の上に、とりわけ、初回の2015年が”Global” [全プログラムの英語進行]、今年2016年は”Youth”や”Rebel” [直訳すると反逆者、運営を学生・若者主体にすることで年齢に関係なく大きなことを成し遂げられる、という挑戦心を表す] のようなコンセプトを一応掲げていた)。

 

この時点で、ただのインターンという立場ではあったものの、社団法人からVCにジョインすることに少なからず不安を抱いていたからこそ、この衝撃はなんだかとても嬉しいものだった。

 

そもそも、考えてみると、Slush(フィンランド)も500(アメリカ)も、もともと海外から日本にきていて、同じスタートアップエコシステムにいるプレイヤーとして(一般通念上、VCとイベントをプレイヤーと呼ぶかは知らない)、似通っている点が多いのではないかと感じる。

ただ、正直なところ、数ヶ月前までは”投資家への苦手意識”が何故かずっと頭の中にあったので、VCという環境に1ヶ月身を置いてみて、素直に感じるノンプロフィットとの違いを書き出してみようと思う。

 

※繰り返しになりますが、VCと利益追求を目的としていない団体といっても、あくまで500 StartupsとSlushを比較した私見を述べるだけになります。

 

 

◆組織形態

そもそも、それぞれの組織形態は会社なのか?ということで調べてみる。

500 Japan: 日本では、500 Startups Japan, L.P.リミテッドパートナーシップ:有限責任組合)というマイクロファンドとして成立されている。実は、500では、500 Startups Management Company, L.L.C.Limited Liability Company、リミティッド・ライアビリティ・カンパニー:有限責任会社)のもとにメインファンドがあり、10以上のマイクロファンドを世界中に設立している(いずれ、500という名前は投資先の数 [確か現在1,600社近く] ではなく、ファンドの数になるのではないかというジョークもあるほど)。これらは全て独立しており、メインからマイクロにLP出資やアドバイザリー・サポートがあったり、共同出資をする関係にある。組合と会社の違いはよくわからないのでスルー、とにかく500 Japanは会社ではなくファンドとして成立しているらしい。

Slush Asia: Startup Sauna Foundation(財団、スタートアップ支援活動全般)のもとにStartup Sauna Oy(株式会社、イベント「Slush」の運営を行う)があり、そこでSlushをはじめとするいくるかのスタートアップ支援が行われている。一方でSlush Asiaは、2015年の開催前に、日本に一般社団法人SLUSH ASIAを設立している。

 

◆ミッション・目指しているもの

500 Japan: ①大きなクロスボーダーM&Aに携わる事。②日本から真のグローバル企業を生み出すことに貢献する事。 

Slush Asia: ①Global -「最初からグローバル」を当たり前に。②Open - 国内外の誰もが参加できるオープンでフラットなコミュニティ作りを目指す。③Cool -「スタートアップはカッコイイ」という魅力を若者が感じ、新しい価値創造に果敢に挑戦する人を増やす。

相違:リンク先にも記載があるが、クロスボーダー・国内EXITやIPOを増やすこと、シリコンバレーや海外にいる他のVCを日本に連れてくること、グローバルネットワークを駆使し日本のスタートアップの海外展開を支援する、という強固なグローバルネットワークを持つ500 Japanに対し、人口500万人(北海道と同じくらい)のちっぽけな国に、シリコンバレーのようなアツイ場をつくろうと広がったグラスルーツの起業ブームを、「起業家をロックスターに」のコンセプトのもと日本で広げていこうとするSlush Asiaは、少しテイストが異なる。

が、海外で成功・広がるムーブメントやコミュニティを、「日本のスタートアップエコシステムをよりアクティブに」するために日本にもってきた、というスタイルは結構似ていると感じる。

 

◆運営・メンバー構成

500 Japan: (マネージング)パートナーが2人と、フルタイムアシスタント1人、インターン2人(2016/9/4時点)。

Slush Asia: CEO(社団法人役員)と、その他各部署(パートナーシップ、マーケティング、スピーカー&プログラム、スタートアップ&インベスター、リーガル&ファイナンス、プロダクション、IT、人事&ボランティア)に学生・既卒が1~2人ずついるイメージ。イベント数ヶ月前からは各部署にプラス数名、各チームのリードが20人前後増え、当日は学生(社会人も1割弱)ボランティアが400人強携わっていた(Slush Asia 2016の場合)。

相違:メンバー構成が圧倒的に異なる(組織形態が違うことと、そもそも業務内容が全く違うから)し、携わっている年齢層にも違いがある。

ただ、働く環境としては、どちらもスタートアップライクで、(私的に良い意味で)整備されていない点が多く感じる。また、双方海外にヘッドクォーターがあるため、現地のチームとのやりとりが多く、”ファミリー”が各国にいて何だかとても頼もしく楽しい。

 

◆カルチャー

ここに関しては、日本だけではなく本家のところから着目する(あえて原語のままで)。

500: Humble, Diversity, Misfit, Crazy, Change, Global, Knowledge, Geek, Inclusive

Slush: Global, Open, Cool, Rebel, Youth, Inclusive, Diversity, Challenge, Mistake, Volunteering (Non-profit), 

相違:500は良い意味で起業家の年齢にこだわりを持っていない(人柄・チーム・プロダクトが良ければ年齢は問わない)点に反して、Slushは、起業家だけでなく、同時に次世代・若者の起業家や彼らの起業家精神が育っていくことにより重きを置いている。面白いのは、双方グローバルとうたっているものの、500 Japanはマーケティングに”日本語”を使用し、一方のSlush Asiaは”英語”のみを使用することにこだわっている(500 Japanは日本のスタートアップを本気で支援するために日本語でアプローチをし門戸を広げ、Slush Asiaは英語縛りにすることで海外展開や英語でのピッチ等をより身近に感じてほしいと考えていると推測する、どちらの理由も理解できる)。

ただ、500は世界規模で見てもチームや投資先の人種や性別、肌の色、使用言語が多様であったり、Slushはチームに私のような女性・スタートアップに精通していないメンバーが多かったり、意図的に登壇者・登壇企業も性別・国籍の比率を調節したりしている点で、どちらもダイバーシティ・インクルーシビティにかなりこだわっているように感じる。また、働いていて感じるのは、両者失敗を歓迎する空気があることと、「やってみないとわからないじゃん」的な勢いは少なからず、いや大いにある。

  

◆エコシステムでの役割

500: シリコンバレーからやってきたVC。

Slush Asia: 北欧フィンランド発祥のイベント・カンファレンス。

コメント:ここに関しては私も勉強中のことが多いのでまとめ方がわからないが(それでも書きたい)、そもそもスタートアップや登記したて・する前の企業がスケールするためには資金(投資家)が必要で、起業家が国内外の投資家に一同に会えるのがイベントやカンファレンスである、という当たり前のことを半年前の私は知らなかった。

ただ、双方に多少身を置いて感じるのは、ただのVC・イベント業務だけではなく、どちらも日本のスタートアップエコシステムをよりアクティブに、大きくするため(要するに起業家の数と資金調達の総額を増やすこと?)、大企業や行政とコラボしたり、海外のスタートアップ・投資家を日本に呼んできたり、起業家になりうる人(学生・企業に勤める人)を支援しているのは、どちらもとても重要な役割であると感じている(そして、この部分に最も惹かれて私はこれらの組織に入ったのだと最近気づいた)。

 

 

以上は、インターンを始めて1,2週目に毎日感じていて、どうしてもどこかに書き留めたくてうずうずしていたことである(このためにブログを始めたのは言うまでもない)。

前述したように、Slush Asiaを終えた後に500にインターンとしてジョインすることには多少の迷いと不安があったが(いろんな人に相談していたので、応援してくださる人の中の中には、起業してみては、スタートアップに入った方が、と意見をくださる人もいたし、実際自分でもそう考えていた)、組織のカルチャーや事業・出会える人の層を考えると、私がここに入りたいと思ったのはごく自然な流れだとも感じている(し、今になってはアメリカの夏期プログラムに落選して良かったとポジティブに考えられるようになった)。

 

 

 

最後に、私がここ1週間最も感じたことをもう少し。

 

◆立ち位置

500 JapanもSlush Asiaも、VCと一般社団法人(イベント運営)という立場上、数千〜数億・数十億規模のお金を運用する。そのお金がどこからくるかというと、協賛や出資を行ってくれる(Slushではパートナー、500というかVCではLPと呼んでいる)エンジェル、大企業、銀行、行政、各種機関だ(イベント協賛はイメージしやすいが、これまで投資家=ベンチャー・スタートアップに投資している、というイメージしか抱いていなかった私は、そもそもこの大前提の構図を知らなかった。絶賛勉強中)。

 

何故かここにきて改めて感じるのは、小さな企業がスケールするために投資家やイベントの存在はもちろん重要であるけれども、それ以上に、そのVCやイベントに出資している大企業の社会的影響力や資金力はえげつなく大きいということである。

 

こんな小さいけれど大きなお金の動きを目の当たりにし、こうして社会は回っていたのかと、ずっと忌避していた経済学への興味も湧いてきた。

「将来やりたいことは何なの?」と聞かれることもしばしば。まだまだ、自分の興味や関心を開拓している道半ばだけど、もう少し時間をかけて寄り道をしながらいろんなものを拾っていこう(ちょっと無理やりだけど、1ヶ月間もやもやしていたことの一部を吐き出せたので終わり)。

 

 

Undoボタンについて考え、これまでの人生を振り返ってみた

 

「I wish I had an "Undo button" in my life.」

 

エレベーターの中で階数を間違えて押した時、上司のJamesがこんなことを言うもんだから、「今までの人生の中で取り消したいものはなんだろう?」と考えた。

真っ先に思いついたのは、大学入試センター試験のこと。

いつも5分残る英語のテストで、初めてラスト10分の時間を持て余した私は、余裕を持って見直しにとりかかった。

その10分間で、大問2つを修正した(12点分)ことが、私の受験失敗を招くとも知らず・・・

 

このUndoボタンの話は、最終的に「今の人生が好きだし満足しているから、何もUndoしたくないね」という結論で終わった。

その足で向かったイベントのテーマが、『留学とその後のキャリア・起業』というものだったので、今度は自分の留学から今までの人生を振り返ってみた。

 

そもそも留学に行こうと思ったのは、間違いなくこの受験失敗が起因している。

地元の公立大学に入って、イケメンイケ女の先輩と最高な同期との体育会部活動に明け暮れる毎日は確かに楽しかったが、最初の1, 2年はずっとどこかもやもやした気持ちを抱いていて、新しい世界に飛び込みたい気持ちを抑えられなかったのはもちろん、なんと両親(とりわけ子供の進路や行動に厳しい父親)が、都内の大学に通えなかった代わりにと、留学を後押ししてくれたからである。

 

そんなこんなで留学中は新しいコミュニティやボランティア、ミートアップに、羽が生えたウサギのように飛び回ったわけだけど、その頃はたかがアメリカという国の隅っこでの生活に慣れるだけで、世界を知った気になっていたように思う。

それに気づいて、途中ひとりアメリカ横断を決意したり(「当時の彼氏や友達に会いたいから夏休みに一時帰国したい」と言った私に、「そんな金と時間があったらアメリカ一周でもしてこい!」と言ってくれた、思えばこれもまた父親の一声で突き動かされたのであった)、企業インターンと学校での教師アシスタントボランティアを並行するも、留学が終わる頃には、いったい日本に帰って自分が何をしたいのか、はたまた何ができるのか分からない、就職活動はしたくないし、そもそも刺激的で考える材料と機会をたくさん与えてくれる異国にまだいたい、という一種の”帰国ブルー”に陥っていた。

 

幸運なことに、帰国して1ヶ月後に参加したSlush Asiaというイベントのおかげで、私のワクワク度は維持されることになる。初めて会う起業家・投資家に「かっこいい」という思いを抱くと同時に「この人にできるなら、私にも何かできるかもしれない。」という謎の自信を得たり、留学先で出会った学生とはまた少し違う質の学生の優秀さに刺激され、再度やる気が跳ね上がった。

 

その前後に、「留学していたから何か役立てるかも」という理由で応募した、太田英基さんの会社・スクールウィズでのインターン。(日付が変わる頃に太田さんのインターン募集投稿をFBで見て、「興味あります!」という自己アピール込みの長文メッセージを送りつけ、その日のうちに群馬から東京までやってきて面接をしてもらいその場で採用が決まるという、なんともスピーディーな流れだった)

初めての日本企業(しかも当時社員10人未満のどベンチャー)でのインターンは、社長の太田さんの優しく、他者を気遣い、かつ人を魅了する人柄が会社の文化によく表れていて、とても心地よい環境で”会社”・”働く”ということを学ばせてもらった。

この中で、とても優秀なエンジニアさんや経理、CS、人事のプロ(それぞれ人格も素晴らしく、勝手に頼れる兄・姉・母と感じていた)と短いながらも同じ時間を過ごせたことは、その後の私の「上手くいく組織経営」みたいなところ、価値観に大きな影響を与えている。

 

スクールウィズでのインターン中、地元群馬の母校で教育実習をしたり、Slush Asiaでお世話になったALでのイベント企画運営インターンを並行したり、当時憧れていたウェディングのベンチャーに興味を持ったりと、1つのことに集中して成果と呼べるものを残せなかったのは少し後悔している。

 

そんな中、勝手に企画したSlush Asiaのボランティアパーティーで、翌年(2016年)開催に向けてフルタイムメンバーを募集するという話を聞き飛びついた。正直スタートアップのスの字も知らず、自分に何ができるのか自分でもよくわからない状態ではあったものの、2015年のSlush Asiaは、都内の学生ボランティアが多い中、地方大学から参加していたのは私を含めほんの少数で(チームリーダーは私以外ほぼ都内か関西の学生だけだった)、なぜこんなにも地域間に情報や機会の格差があるのかと少し悔しさもあり、迷わずアプリケーションを送った。

後にボスとなるAnttiに、引かれるくらいしつこく電話やメッセージを送り続け、「もうダメか・・・」と思った頃に、組織の人事的な立ち位置として、まずコアメンバーを集めること、数百人のボランティアを集めまとめること、を課せられた。

 

経験もない・知識もない中での探り探りの組織づくり・イベントづくりは想像を絶するほどボロボロで、何度も泣いて何度も怒って何度も落ち込み、そして一度だけ入院をした。(数ヶ月腰の異常と微熱を放置していたのが原因、腎臓は大事にした方が良いことを学ぶ。あと水をこまめに飲む)

イベント企画は全てにおいて締め切りがあるが、それを達成するために何を遂行・マネジメントしていくかが全くわからず、全て場当たり体当たりで行った(ちなみにこれをモノにするためには相当な経験が必要なようで、今でも持ち前の気合と根性、柔軟さで乗り切っている)。

アンプロフェッショナルな組織では、イベント20日前にオープニングの映像をつくっていないことが発覚したり、直前にあれがないこれがない、人が足りないお金が足りないという心配事ばかりで、8ヶ月間非常にストレスフルだったと同時に、未完成なものを未完成な人たちで補う感覚が非常にエキサイティングだった。

数百人をまとめるというタスクにおいては、自信が無く最高に落ち込んでいた私に、Anttiが「虎穴に入らずんば虎児を得ず」という教えを説いてくれて(フィンランド人に教えられるまで、私はこのことわざの意味を理解していなかった)、不格好でも英語ができなくても緊張してても何でもいいから、とりあえずやってみよう!という思いでトライアンドエラーを繰り返した。

 

今思えば、この締め切りに追われ、システムやルール、オペレーションが何も決まっていない環境でがむしゃらに目の前のことに向かって挑戦していく感じは、起業したことがないもののスタートアップで働くことに近いんじゃないかと勝手に感じていて、本当にこれが起業する・スタートアップで働くことに通じているのであれば、案外嫌いじゃないと思う。

 

そして何よりも、何かに向かって必死で夢中になっている時には、必ず誰かが助けの手を差し伸べてくれるということを学んだのも、この経験を通してだった。Slush Aisaを通じてたくさんの偉大な方々にサポートしていただけたのは、私たちが誠意を持って、夢中になって、死ぬ気で(死ぬという言葉はやや大袈裟だが、失敗したら東京にはもういられない、と本気で思っていた)、何が何でも成功させてやるというクレイジーさと頑固さを持ち続けたからだと感じている。

 

とはいえ、やはり何かを続けることは、お金や人がまわり、組織が続く仕組みをきちんと整備しなければいけない(個人のお金も然り。お金の豊かさは、心の豊かさに本当に直結するということを先月学んだ。母に感謝)。ということで、以前から興味のあったソーシャルビジネスを学びに、留学先でもあったアメリカはシアトルのプログラムに参加しようと決意した。

運営にも会ったことがあるし、関係者に「まみなら絶対受かる!」と言われ、すっかりその気で渡米の準備を始めていた頃に、「we regret to inform you that we are unable to extend an offer to you to participate」の連絡が。要は落ちたのだ。

 

正直、受験失敗と同じくらい落ち込んだし、2016年に入ってから半年で、入院、若干の鬱、留年を経験してきたので、ここにきてさらに悪いことが起きるとは思っていなかった。

ただ、高校3年生や大学入学時の私と唯一違ったのは、「あ、きっと今の私がすべきことはこれじゃないんだ。他のことの方が成長できるから、そっちを見つけてやりなさいってことなんだ。」と割とすぐに立ち直れたことだった。

 

すぐにスタートアップでのインターンを探そうとパソコンを開いた。場所は、シリコンバレー(渡米する際に行く予定だった)かシンガポール(今なら兄が働いているし興味深い)、台湾(大好きだった祖父の第2の故郷だし国民性が好き)、フィンランド(Slushでの繋がりが多い)、そして日本に的を絞った。

それぞれに精通していそうな人にメッセージを送り、知り合いでインターンを探している人いない?日本に進出する会社とか!と頼ったところ、数社のリストができた。が、そこで困った。どの会社に入りたいか、どの会社が何をしているのか(事業内容を読んでも)、検討がつかない。興味のある分野はある程度絞って伝えたし、推薦者のコメント付き。だが、わからない。

そこでハッとした。確かに今の私は、できることは少ないながらも多少はある。でも、特定の分野に向かいたいという意思がはっきりしているわけではない。あったら、恐らく迷わず起業している。そして、働く先は、これまで会社のカルチャーや人との相性である程度選んできた。

 

どんな基準で選べば良いんだろう?

 

悩んだ末に、ある時、頭の中に1つのアイディアが生まれた。

 

「そういう会社をじっくり見られる仕事ってなんだろう。」

 

気づいた時には、500 Startups Japanのウェブサイトを初めて開き、英語のレジュメといくつかの提出物を揃え、アプライをしていた。どんな会社かわからない。でも、私が信頼する人たちがみんな口を揃えて、「500は良い。まみに挑戦してほしい。」と言うから、多分カルチャーフィットはするだろう。

得意の「一度会って!」戦法でなんとか漕ぎ着けたJamesとのインタビュー前に、ある程度過去の関連記事を読みあさり、その頃には「どうしても入りたい!」という意思が強くなっていた。

30分のインタビュー(というよりは雑談だったが、初めてJamesと話した時は彼のオーラに圧倒されガチガチだった)後、電話で正式にオファーをもらって、すぐに働かせてもらえることになった。

留学と、その後のインターンやSlush Asiaで働くことを通じて、初めて自分の強みを少し理解できるようになった。そして今、初めてそれを少しずつ活かしながら、さらに自分の知らないことを学べる・成長できる場にたどり着いた。

 

 

あのとき英語の大問のマークを変えていなければ、もう少し早く留学に行っていたら、周りの学生のように学生のうちに起業していれば(一応まだ学生の身だが)、、という ”たられば” は尽きないが、やっぱり私は今の人生が好きで、焦らずマイペースに、まだまだこれから自分の可能性を広げていきたいと思っている。だから、今までの人生でUndoボタンを押さなくてよかったと思うし、これからも、自分の心に従うままに生きていこうと思う。

 

 

※日本語のため読めない人が多いだろうけど、海外のインターン先を探していた時に、力になってくださった方には心から感謝しています。ありがとうございました。