忘れかけていた、プロジェクトに向き合うときに大切なこと

「もうすっかりベンチャーキャピタリストだねぇ。こうしてSlush Asiaで頑張っていた皆が、いろんなところで活躍しているのは嬉しいなぁ。マミちゃん、次の世代のロールモデルになってね」

 

尊敬しているTさんに、こんな言葉をいただいた。初めてお会いした1年半前から数回に渡りお会いしてきたものの、直接面と向かってこう言っていただけたのは初めてで、(どういった意図であったかは分からないものの)とても嬉しかった。と同時に、私が今抱いている葛藤やモヤモヤした小さな悩みなどは全て見透かされているような気がして、なんとも言えない気持ちになった。

 

親友に「マミは人の影響を受けやすいからなぁ」とよく言われるくらい、私自身も自覚してはいるが、この2日間、冒頭の言葉がずっと頭から離れなかった。それ以前からも何かが心につっかえている心地がしていたのだが、とある先輩に指摘していただいたことがこのモヤモヤに関連するような気がして、このモヤモヤの正体と向き合ってみようと思う。

 

 

そもそも、私がベンチャーキャピトリストであるか、それに向いているのか否かという問いは置いておいて、ベンチャーキャピタルに身を置いていると、「この事業は上手くいきそうか」や「プロダクトマーケットフィットがしっかりできていて、トラクションが揃っているか」、「この人に投資したいか」という判断軸が自然と備わっていく。私は投資案件に関わっているわけではないので、その軸が研ぎ澄まされるか否かはまた別として、自然とこういった考え方をし始めていることに気付く。

もちろん、「儲かるの?」よりも「こんなことできるの?できたらスゴイ!」というアイディアを支援することも多々あるだろうが、人様のお金を預かり巨額の資金を運用しているので、利益を生み出すことを第一に考えることは当然である。

 

誰しも未来を完全に予測することができない中、こういった判断軸や多量のリサーチ、ネットワークにより、成功する人や企業を発掘し、支援し、成功の一助となるのだから、投資家やベンチャーキャピタリストの凄さ・偉大さは語彙力のない私には言語化できないほど凄いし、彼らをとても尊敬している。

 

 

一方で、全く別の組織でイベント企画・コミュニティ形成に打ち込んでいた数ヶ月前の自分を振り返ってみる。

 

投資家やベンチャーキャピタルから資金調達こそ行っていなかったものの、各パートナー企業から協賛金をいただいたり、さらにいうと金銭だけでなく、人や知識、ネットワーク、スペース、メンタル的なサポートをたくさんいただいていた。

 

そんな有難い環境の中にいても、未熟な点やミスコミュニケーションが多すぎて、多方面から「無理だ、こんな組織じゃ上手くいかない」、「今年は失敗する」、「もう応援できない」と何度も言われた。だが、いくら周りにそう言われたとしても、自分たちだけは”できる”と信じていたし、「絶対にやりきってみせる、成功させてやる」という強い信念とパッションだけは持ち合わせていた。

私は特に気持ちと感情の起伏が激しいので、調子が悪い時はこの情熱が途絶えてしまいそうになることもしばしばあったが、その度に、仲間が励ましてくれて私の自信を取り戻してくれた(し、イベントは特に、何を以って”成功”と定義するか判断が難しいが、小さな失敗はもちろんたくさんあったものの、それでもイベント自体は失敗ではなかったと思う)。

 

 

こんなことを、尊敬している方や先輩の言葉を受け考えさせられ、最近動き始めたSlush Asiaの新しいチームを見ていて(感覚でいうと、立場が”プレイヤー”から”サポーター”になった感じ)、ふと思い出した。

もちろん、立場によって感じることや考えること、得られる価値観は全く違うと思うが、

・信念を持ち、情熱・パッションを抱き続けること

・潰れてしまいそうな時に、支え合い励まし合える仲間がいること

がいかに大事であるかを、忘れかけてしまっていたことにこの2、3日で気付かされた気がして、正直とても驚いたしショックだった。

 

いつか、何か自分のプロジェクトを始める時、プレイヤーになる時に、収益性やマーケットの大きさを考えることはもちろん大事であるが、それ以前に、自分が何に意欲を掻き立てられているのか、何故それを実現したいのか、という理由付けや、たとえ周囲に批判されたとしても「本当に実現したい!」という熱い想いを絶対に忘れないようにしよう、と思ったのでメモ。

 

 

 

 

 

余談だが、今でも「Slush Asiaで辛かったことは?」と聞かれる度に、昨年の暮れ、オフィスで泣きじゃくる私を、田口とマリが懸命に励まして自信を持たせようとしてくれたシーンが目に浮かぶ(あの頃は落ち込み?落ちぶれ?すぎて、心に届かなかったが、そのくらい仲間想いな人たちに出会えたことが、潰れそうな私を支え・励ましてくれたと思っている)。

今回、いくつかのタイミングが重なって、歳をとるごと・社会の色々なことを学ぶごとに、パッションと情熱を持ち続けることは意外と難しいんじゃないかと思ったことと、当たり前だけど「何をするか」よりも、「誰とするか」は大事で、こういうプロジェクトで出会った仲間や先輩たちに、私は育ててもらったなぁと思ったので(いつかどこかで見た、The people who you meet shapes your life. という言葉が好き)、このブログを書いてみた。

 

 終わり