「できない」への挑戦と弱い自分との対峙 - 私が深センの教育ベンチャーで働く理由

"If you feel too comfortable, it means that you never change. It's actually good that you struggle and feel frustrated so that you can grow more and faster."

 

中国深センで働き始めてから、2ヶ月が経過した。一昨日、“試用期間”を終えた私は、この間何をしてきたのか、今後何をしていくのかについて、所属するアジアチームのマネージャー(上司)や日本の営業担当、マーケティングチームの同僚、人事の前でプレゼンする機会があった。

その直後、悔しさとこれまでのフラストレーションが一気に溢れ出て、様子がおかしかった私を心配して、翌日上司が声を掛けてくれたときに、冒頭の言葉を言ってもらった。

 

正直、バックパッカーとして深センに来てこの地の雰囲気を気に入り、前職の人脈を辿り知り合いをつくり就職先を探した私にとって、今ここで働いていることは半年前、1年前には全く想定していなかった。何なら、「心が惹かれているから」ただそれだけの理由でこの地に移り住むことを決めたので、「そもそも何で深センに来たのか?何で教育分野なのか?」をなかなか言語化できないでいた。

時間が経つにつれて、自分でも少しずつ腑に落ちる瞬間があったり、それらの理由が分かってきて(若干後付けでもある)、ビザ関連の手続きが少し落ち着きようやく合法的にここに住む、働くことが確定したので、これまでを振り返りながら頭の中を整理してみようと思う。

 

これまでの2ヶ月間を振り返る

私が勤めるMakeblockは、STEM教育の教材やロボット、ソフトウェアを提供している会社で、現在設立から5年、過去2年間で従業員が100人から500人に増えたという急成長中のベンチャーだ。

 

深セン本社に400人前後の社員がいる中、スウェーデン人のマーケターに次いで2人目の外国人として働いている(会社にとって、割と私の採用はお試しだったようで、今後アジアの各地域でも外国人採用を進めていくとか)。当然社内の公用語が中国語の中に、中国での留学経験も無い私がアジアチーム、とりわけ日本のマーケティング担当としてジョインしたので、アジア/マーケティング/デザイン/プロダクトチームとは英語で、日本チーム(私以外に営業担当、技術支援担当、営業アシスタントのインターン生がいる)とは日本語で、なんとか毎日乗り切っている。

 

そんな環境の中、日々めげそうになる気持ちを前向きに保ちながら取り組んできたことは、

・Webサイトの日本語化

・ソフトウェア/パッケージ/説明書のローカライズ

・製品モニター&レビューのキャンペーン実施

・日本市場諸々のリサーチ、今後の展開の提案

・ブログの立ち上げ、日本語と英語で記事作成/投稿

SNSの運営

・日本企業/議員/政府関係者/記者の訪問対応

・企業/教育委員会への営業同行

・日本語の採用ページの作成

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等々。唯一の日本人なので、表に出すものの最終チェックや営業、現地採用などについて頼まれることが多く全て引き受けていたら、結局いろんなものに手をつけすぎてどれも中途半端になってしまうくせに頭がパンクしそうになったり、かつやっていることがバラバラすぎて誰からも評価されない、という負のスパイラルに陥っていた。

 

だから、冒頭のプレゼンに対するフィードバックで「何にでもYESと言いすぎ」「結局Mamiの中で優先順位が高いと思うものは何なの?」「もっとフォーカスすべき」等々散々言われた後には、悔しくてやるせなくて終業と同時にオフィスを飛び出して号泣してしまった(デフォルトが泣き虫なので、昔と比べるとこれまで逆によく泣かずにやってきたな、とも思ったり)。

 

急成長しすぎた会社あるあるなのか、チーム同士の連携が上手くとれていなかったり、チームそもそもの構造に変なところがあったり、会社として、各チームとしての戦略・計画・向かっている方向なんかが見えなかったり食い違ったり、むちゃくちゃ大変だなと思いつつも、なかなか面白がっている自分もいる

 

中国人特有の考え方や、言語や文化の違いも日々感じて考えさせられるなぁと思うこともあれば、そんな中、中国企業として日本展開をしていくことへの諸々のチャレンジを感じることもある。たぶん長くなるのでそれらについてはまた別の機会に。

 

結局何でここにいるのか

じゃあ、何で今ここにいるのか?を改めて考えると、大きいものだけでも4つくらいある(小さい理由はもっと挙げられるのと、なぜ深センがそんなに魅力的なのかについてはバックパック時に書いた英語ブログを置いとく。Why Shenzhen? Reasons why I decided to stay here longer

 

1. 教育分野のどこにどう貢献できるのか・携わりたいのかを知りたかった

2. 中国、その中でも急激に成長・変化している深センで自分がどうフィットするのか見たかった

3. 「何者でも無い自分」が、どれだけ挑戦できるのか試してみたかった

4. 「やってみたい」けど「できない」と思っていることにこそ挑戦したかった

 

1. 教育分野のどこにどう貢献できるのか・携わりたいのかを知りたかった

小学校から大学まで、地元群馬の公教育しか受けたことの無い自分にとって、アメリカでの留学はとても衝撃的だったし、教職免許取得のために母校の高校で教育実習をしたときの自分の無力さや課題観は今でも鮮明に覚えている。これまで教育に関するベンチャーNPO、スタートアップ支援を経て、やっぱりもう一度教育の分野に向き合って、今の、今後の自分が、特に国内外の教育に対して何ができるのか、何をしたいのかを探りたいと思っている。

 

2. 中国、その中でも特に急激に成長・変化している深センに自分がどうフィットするのか、ついていけるのかを試したかった

それなのに、日本ではなく、留学や前職で縁があったアメリカでもフィンランドでもなく、中国を選んだ理由はいくつかあるが、1番大きかったのは「確実に次の世界の中心・リーダーになる」と自分が身をもって感じた場所とそこにいる人たち、文化や言語、教育環境を知る必要があると無意識下で強く感じたからだ。中でも就職先に現地企業を選んだのは、その中で自分が彼らからどう受け入れられ、かつその中で自分がどんなことをできるのか試したいと思ったから。

※ちなみに結構質問されるけど、私の肌感では台湾と同じくらいに親日だったり、めちゃくちゃ優しかったりフレンドリーで、面倒見の良い方が中国には多いです。偏見ヨクナイ!

 

3. 「何者でも無い自分」が、どれだけ挑戦できるのか試してみたかった

前職を辞め東京を離れ「何者でも無くなった」とき、「組織の名前で自分が評価されること」に慣れてしまうことや、「自分が心地良いと感じる環境にいたいと思うこと」が、いかに恐いことかを思い知った。と同時に、自分がいかに他者依存の性格か、いかにこれまでの環境やご縁に恵まれ、そこに甘えてきたかということに薄々気づき始めてた。「無」の時間を5ヶ月経て思ったのは、誰も知り合いがいない場所で、簡単には甘えられない環境で、「ただの26歳の日本人」として何ができるのかを試したい、ということだった。

とは言え、最近では前職や前々職のご縁を辿り繋がり生まれる出会いもあるので、偶然のご縁の巡り合わせには谢谢です🙏

 

4. 「やってみたい」けど「できない」と思っていることにこそ挑戦したかった

深センに来て1週間が経ったとき、「ここにもっと長くいたい、ビザ取得の道を探さないと」と無計画に思った私を応援してくれる人もいれば、「中国語が話せないなら中国での就職は無理だよ」「まずは学校に通って学生ビザをとった方が良いよ」「香港かシンガポールなら仕事の紹介できるよ」と言われたことも多々あった。

全部真っ当だけど、頑固な私は「やってみないと分かんないし」とか、「できない」と思うことにこそ挑戦する価値があるんじゃん!と生意気に思っていた。し、見切り発車なりに実際に動いてきて、こうして振り返ってみると、改めてこの道を選んで良かったと感じるし、ここから繋がる次のチャンスや挑戦をさらに探り続けたいと思ったりする。

 

 

という感じで、あえてチャレンジングな場所・環境を選んできた結果今ここにいるものの、当然普段仕事でも精神的にも孤独を感じたり辛かったり落ち込むことは腐るほどあるので、その思いを綴りながらも気持ちはあえてポジティブに書いてみた!

 

また教育分野に携わるようになって、以前より増して「押し付けではなく、本人が勝手にワクワクしてしまう、興味を持てるコンテンツ」はどうやったら作れるのか、「自分に自信が無い人や、何かに挑戦したいと思ったとき、それができないと思う人」をいかに励まし支援できるのか、等のトピックにすごく関心が出てきたので、人目なんか気にせず、自分自身の興味の矛先、葛藤や弱い部分も引き続きどんどん出していこうかなと思ったり。

 

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入社して5日目に開催された全社イベントで、アジアチームのメンバーと。「Stay Childlike」って個人的にとても好きなコピー

 

いつも通りまとまりは無いけど、久々に吐き出せてすっきりしたのでここまでで。

居留許可がおりたので、ひとまず来年10月末までは深セン拠点の予定。予定は未定だけどね。

 

 

おわり