「自分は幸運だ」そう思うことで舞い込んでくる、新たな運
"Meeting with you, was one of the most precious things that I have had at this company."
突如、昨日が最終出社日となった同じチームの同僚と話しているときに、自然と口から出た言葉。
彼女は、私よりも2つ歳下だが面倒見が良く、それでいて可愛らしく明るくて、責任感もあるし気遣いもできて(「気遣ってるように見えても、中国人は結局自分のことしか考えてないのよ」といつだったか笑いながら言っていたことがあったが、彼女は本当に優しい人だった)、時に繊細だけど前向きで、経験が無いことにも学ぶ意欲に満ち溢れている、とても素敵な人だったし、チームで唯一の外国人の私にとってはそんな心優しい彼女が有難く貴重な存在でもあった。
英語堪能な彼女は、中国語での会議のポイントを私に教えてくれたり
私が部屋探しをしていた時に一緒に内覧に行ってくれたり(結局、彼女が住むアパートの空き部屋に入居することになったので、今もご近所)
引っ越して間もない頃、布団がまだ届いてなかった時には暖かいブランケットを貸してくれたり
毎日ランチになると「Mami! 」と笑顔で声を掛けてきて、社食まで歩いている途中嬉しそうに腕を組んできたり(友人に対するこの仕草は中国人女性によく見かける)
先日私が急性胃腸炎と高熱で寝込んでいた時、「少しは食べないと!」と仕事後に熱々のお粥を買ってきてくれたり
行き帰りのバスが一緒になると、お互いの仕事や人生、家族、将来、いろんなことを話し合ったり
「中国語で『mami(妈咪)』はママの意味だから、Mamiは皆のMami(ママ)ね!」と中国語や中国の文化、考え方をたくさん教えてくれたりもした。
そんな彼女は、私よりも1ヶ月遅れて入社したので、昨日辞職となるまで(半ば解雇・半ば自主退社だが、彼女に非は無い)、この半年間の私の中国での生活の中には、いつも彼女がいた。
これまで、いろんなことが重なり(いつか時効になったら書ける日がくるかな)、7ヶ月間で優に15人以上の同僚・上司が会社を去る姿を見てきたので、もうよほどのことが無ければ動じなくなっていたが、昨日ばかりは悲しさ、寂しさ、会社や上司への怒りが混じって、とてもやるせない気持ちだった。
ただ、ふと、もし彼女がこのタイミングで同じ会社に勤めていなければ、そもそも彼女と出会うことさえなかったら、どうなっていただろうかと考えた。
まず、私はこんなにすんなり家を見つけられず、素敵なご近所さんを持てなかっただろうし、
同僚として、だけではなく、1人の中国人の友人として、こんなに心優しくて人懐こい人と出会えることもなかったかもしれないし、と考えたら、
彼女と出会えたこと自体が、もはや奇跡でとても幸運だったんじゃないか、とも思えて、また涙が出そうになった。
「自分が幸運だと思える人は強い。そうして行動し続けていると、さらに周囲の支援が得られたり新しいチャンスが舞い込んでくるから」
皮肉なことに、私にとって昨日は入社史上、トップ3に入る記念すべき日でもあった。年明けから徐々に準備してきた、新製品のリリースと、とある非営利団体との提携をようやく発表できたからだ。
人もいない、リソースも限られていて、さらに先月から続く社内でのゴタゴタがあった中、製品やWebサイトのローカライズ、販路確保、提携、発表の準備を進めてきたことを知っている、人生経験が私の倍以上ある、とある日本の販売パートナーの方が
『これまで東野さんが努力されてこられた事が本日のリリースに繋がっていることを考えると、本当に「お疲れ様でした!」の一言ですね。日々逆境の中、本当に大したものだと感心させられっぱなしです。』
と、発表後にメッセージをくださった。その時、そもそも製品が販売できるのは製品チームやパートナーの協力のおかげで(訳あって営業ではない自分が初めて販路を確保する必要があったものの超苦戦したので、ようやく取り扱ってもらえることが決まった時には感極まって電話越しに半泣きでペコペコしまくった)、提携に関しては幾度か迷惑を掛けながらも提携先の方々が快く準備を一緒に進めてくださったおかげで、何よりも先月、仕事で1番きつかったときに支え励ましてくれたり差し入れを送ってくれたのはあなたです、とお礼を言った。
その時に、「あれ、よく考えると私めちゃくちゃ恵まれてないか?こんな人たちと仕事ができるのも、支えてくれたり応援してくれている人がいるのも、めっちゃツイてない?」と思えた。
そんな時にふと思い出したのが、「自分が幸運だと思える人は強い。そうして行動し続けていると、さらに周囲の支援が得られたり新しいチャンスが舞い込んでくるから」という、昨夏当時まだニートだった私に、前職の時から起業家として、人として尊敬しているとある企業の経営者がご飯に誘ってくれた時に言ってくれた言葉だった。
心優しい大好きな同僚が辞職するのはとても悲しいけど、多分彼女の今後の人生にとっては良い選択になる。だからこそ、この6ヶ月間彼女と同じ会社で働けたことに感謝だし、とてもラッキーだったと思う(「私が経営者か上司だったら、絶対にあなたと働きたい」と思わず口から零れた言葉を聞いて、彼女は嬉しそうに笑っていた)。
そして、とても頼もしい同僚、協力的なパートナー、支援してくれる人々が周りにいる今の自分は、改めて幸運だと思うし、中国ベンチャーらしい衝撃的なことも多くあれど、変化が大きく生き残るのが容易で無い環境に身を置けていることも、とても刺激的で貴重だと思う。
今回は、ブログというか昨日起きた自分的に大きな出来事について、自分の素直な想いをただただ記録しておきたかったのと、「あなたの感じ考えていることは、発信する価値があるから。セレンディピティを生むから。」と1年ぶりにお会いしても当時と変わらず励ましてくれた方がいたので、ありのままに書いてみた。
きっと、来週からは愛くるしい同僚がいないことに違和感や寂しさを感じる日々が続くし(また泣くだろうな)、またいろんなプロジェクトに向けて地道な作業が続くだろうけど、自分が決めて来た今いる場所がベストであり、恵まれている、幸運であると思って、環境や周囲の人に感謝しながら、少しずつ前に進んでいこう。
おわり